相原コージの『Z~ゼット~』に希望なんて何もなかった件
相原コージ作『Z~ゼット~』」全3巻を読み終わりました。
オムニバス形式で展開されるショートストーリーのゾンビ漫画です。
相原コージ氏の漫画を読むのは、『コージ苑』以来。
読む前は、相原コージの絵柄でゾンビ?と思っていましたが、
淡々とした絵のタッチが逆に恐怖を感じます。
連載誌が休刊になった為に、意図せず最終回になったようで
ラストは本当に救いがない。
登場人物、戸田凜子のセリフ
「こんな地獄のような世界でも命が生まれてくるということが逆に希望なのかもしれない」
が、明日への希望を示唆しているとか、映画化された時のサブタイトルが
「果てなき希望」だったりしますが、
いや、全然ないでしょう。希望。
だって、そもそものゾンビの設定が、基本的にはロメロ版の
”ゾンビに噛まれた者は死んでゾンビになる”を踏襲しているものの
”人間だけでなく、動物までゾンビ化する。しかも自然死した場合も”
”ゾンビの体液が体内に侵入しても感染してゾンビ化する”
のプラス設定があるんですよ。
作中では、蚊に刺されただけで、ゾンビになってしまいますし、
ゾンビを食べた魚がゾンビ化して、その魚を食べたサメもゾンビ化してる。
家畜もゾンビ化して、「肉」も食べられなくなっている。
食物連鎖にゾンビが侵入しているわけです。
こんな世界に希望があるわけないでしょう。
確実に10年以内に滅びるね。
ただ、ゾンビ化現象の原因が、TK電力の原発事故ということなので、
今のところ、滅ぶのは日本だけのよう。(このあたりの設定もかなりヤバいよなあ)
まあ、ともかく、いい意味で不愉快になるゾンビ漫画でした。
お奨めです。
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